新規事業の4つのアプローチ(PGTM)
リーンキャンバスの研修を何度かやっているうちにわかってきたことがあります。アイデアの想起にいくつかの種類があるようなのです。ここでは代表的な4種類についてまとめてみたいと思います。
ペイン型
リーンキャンバスは左端に「課題」のボックスを用意しています。お客さんは何らかの課題を抱えていて、それを解決することによって価値をもたらす、というイメージですね。私の研修でも基本的にはこのアプローチをとっています。したがって、お客さんを観察したり、インタビューしたり、共感したりすることで、課題が浮かび上がってくるという流れになります。
このことを「病院で痛み止めをもらう」と表現することもあります。「痛み」の英語が「ペイン」なので、これを「ペイン型」と呼びましょう。あるいは、欲しい/欲しくないというよりも、どうしても必要なものなのだから、「ニーズ型」と呼ぶこともあります。
ただし、ひどいところになると、痛くもないのに「痛いですよね?痛いでしょ?痛くないかもしれませんが、いずれ痛くなりますよ!」と、なかば脅しのような謳い文句を掲げて、無理やりソリューションを提供するところもあります。とはいえ、「お客は課題に気づいていないのだから気づかせるべき」という意見もありますので、まあ、このへんはやり方次第かもしれません。
ゲイン型
ペイン型の反対が「ゲイン型」になります。課題よりもソリューションが提供する「価値提案」に重きを置いたアプローチです。「これ欲しい」に注目しているので「ウォンツ型」とも呼びます。「痛み止め」の反対なので、「ビタミン剤」という比喩を使うこともあります。
よく「iPadが登場する前に、iPadを欲しいと思う人がいたか?」という表現がされますが、何らかの苦痛を解消するためにiPadを買う人はいませんよね(なかにはいるかもしれませんけども……)。したがって、何らかの課題を深堀りするよりも、新しい価値提案をどれだけ魅力的に見せるかといったことに注力することになるでしょう。
この2つを図にすると以下のようになります。

これは現状(AS-IS)と理想(TO-BE)と言い換えても構いません。
テクノロジー型
これは技術力の高い会社さんがとりやすいアプローチです。リーンキャンバスでいうと「ソリューション」に注目したものになります。顧客や課題が何であっても構わなくて、とにかくこのソリューションを使いたい、あるいは部分的にでも適用したい、という感じですね。「テクノロジー型」と呼びます。
とにかく使える状況がないかと探しているので、基本的には「ペイン型」や「ゲイン型」と同じようなアプローチをとることになります。ただし、すでにテクノロジー(あるいはソリューション)は持っているので、それを前提として(あるいは制約として)考えるところが異なります。一種の「ピボット」かもしれませんね。
図にすると以下のようになるでしょうか。

ここで大切なのは、テクノロジーを変える勇気です。優れたテクノロジーであっても、売れる市場がなければ意味がないので、顧客を見ながら柔軟に変えられるようにしてください。
ミッション型
最後のは難しくて、何て分類すればよいのかよく分からなかったのですが、とりあえず「ミッション型」と呼ぶことにします。リーンキャンバスで言うと、「顧客」「課題」「ソリューション」「UVP」にあまり関心を示さない、あるいはブレインストーミングしても何も出てこないような人ですね。
社会を変えたい、人類を救いたい、世界を平和にしたい、みたいな高すぎて手が届きそうもない使命感を抱えた「セカイ系」な人だったり、金さえ儲かればええねん的な人が陥りやすいように思います。あ、もちろんお金は大事ですけどね。
図にするとこんな感じ。

なんだか悪いことばかりのように聞こえますが、必ずしも悪いことばかりではありません。たとえば、「リーンスタートアップなんかはこじんまりとしていてダメだ」という意見があります。確かにそのとおりで、これまでの3つのアプローチだと、こじんまりと想定内に収まってしまう危険性があります。小さな改善を続けても、イノベーションにつながらないという問題ですね。
そのような場合は、実現できるかどうかわからない夢を語ることによって躍進させるしかないように思います。そうやってミッションを掲げ、そのミッションに共感してくれて、実際に実行に移してくれる人がいれば、その人とパートナーを組むことによって、ミッションが実現されます。
このアプローチこそが本物の「起業家」の選択肢なのかもしれません。
PGTM
以上の4つのタイプをまとめて「PGTM」と呼ぶことにしましょうか。さっきググった限り、PGTMと言ってる人はいなかったので、とりあえずPGTMにしときます。
(追記)マトリックスにしたほうがソレっぽいので、マトリックスにしておきます。

縦軸が「顧客/自社」、横軸が「やらなきゃいけない/やりたい」になっております。
CCつけときますね。

ワイクル株式会社 作『PGTM』はクリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 4.0 国際 ライセンスで提供されています。
- 組織的創造性を覚醒させる「揺さぶり」の質問
- リーン・バリュー・ツリー(LVT)
- 顧客フィードバックの流れを作る
- プラットフォームチームの考え方
- システムを変えるふりかえり
- OKRとプロダクト戦略
- アジャイルなガバナンス
- WIP制限はチームの集中を守る
- AI時代の2025年にPdMが読むべき5冊
- 意思決定を記録する
- Team Topologies の最初の一歩
- Product Ops
- チームのメトリクス
- 仮説としてのロードマップ
- Opportunity Solution Tree
- デュアルトラックアジャイル
- プロダクトディスカバリーの基本ループ
- アウトプットではなくアウトカムで見る
- 15%ソリューション
- チャタムハウスルール
- ベガスルール
- 戦略展開
- オペレーティングモデル
- 変革疲れ
- Go-to-Market
- ポジショニング
- セグメンテーション
- ペルソナ
- カスタマージャーニーマップ
- サービスブループリント
- Blameless Postmortem
- ガードレール
- システム思考
- チームの境界
- Stream-aligned Team
- Enabling Team
- Architecture Decision Record
- 技術的負債
- バリューストリーム
- Communities of Practice
- 意思決定権
- Delegation Poker
- ワーキングアグリーメント
- Team API
- 社会技術システム
- コンウェイの法則
- 認知負荷
- 心理的安全性
- 機会費用
- Impact Mapping
- Cost of Delay
- RICE優先順位づけ
- A/Bテスト
- コホート分析
- Pirate Metrics
- North Star Metric
- Product-Market Fit
- Jobs to be Done
- プロトタイプ
- MVP
- リトルの法則
- 累積フロー図
- サイクルタイム
- リードタイム
- カンバン
- バックログリファインメント
- スプリントゴール
- ベロシティ
- ストーリーポイント
- 受け入れ条件
- ユーザーストーリー
- Definition of Ready
- Definition of Done
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- 4Cフレームワークを使ったワークショップの作り方
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- WIP制限の値の設定方法
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